目の前に、沢山の人がいる。 私が手を上げると、次々とその人達は死んで行く。 私はそれに何も感じない。 屍を踏みにじって前に進むと、また人が現れる。 そして、全く変わらない動きで私が手を上げる。 また人が死ぬ。 進み、殺し、進み、殺し。 ふと、血塗れとなった私の足が止まった。 キョロキョロと不安げに辺りを見渡す。 見渡した光景は、死体と血。飛び散った臓物。 重くて暗い雲に覆われた空。 それ以外には何もない。 進む先も、戻る場所も、何も。 私の足は動かない。 だって、動こうと思う先が無いんだから。 私が何もしなくても、周りで流れる血はどんどんと増えていく。 その血が、どんどんと嵩を増し、私を飲み込んで行って……… …………………………………………………… 狭い寝袋の中で目が覚めた。 空を見上げると、まだ暗い夜明け前。 温められる前の大地から、ひんやりとした冷気が寝袋の隙間に入り込んでくる。 どうやら、夢を見ていたらしい。 身体中を冷や汗が流れているのを感じる。 「…………」 私は起き上がるでもなく、二度寝をするでもなく、そのまま空を見つめて物想いに耽る。 思えば、遠くまで来たものだ。 帝国によってあやつりの輪を嵌められて何も分からなくなっている自分に手を差し伸べてくれた仲間達。 彼らに連れられてから、短い時間だが色んな経験をしてきた。 砂漠を歩き、洞窟を抜け、山越えをする所まで来た。 だけど、私自身は何もしていない。 ただ状況に流されるままに着いて行っただけ。 何がしたいという想いも無い、空虚な存在。 さっきの夢も、そんな無意識下の想いが形になったのだろう。 その影響を受けているのか、もやもやとした雲のような暗い気持ちが私の頭を覆う。 「……あれ?」 ふと、視界の端に映った寝袋が空になっている事に気付いた。 私以外にも起きていた人がいたらしい。 なんとなしに起き上がってあたりを見渡すと、寝袋から抜け出た人物の見当が付いた。 マシュさんだ。 コルツ山を抜ける道中で仲間になったばかりの女性。 まだよくは知らないけど……強くて明るく、色々な意味で大きい、まさしく自分とは正反対の人だ。 こんな時間に何をしているのか気になって、私も寝袋から抜け出す。 少し肌寒い空気を感じながら歩くと、すぐに揺れる金髪を見つけた。 「ふふふ〜んふ〜んふ〜んふっふふ〜ん♪」 マシュさんはこちらに背中を向け、タオルを後ろ手に構えながら鼻歌を歌っていた。 ……いや、そんな些細な事はどうでも良い。 彼女は、全裸であった。 「……何をしているの?」 「ひゃっ!?……なんだティナか」 声をかけると、ビクン!と飛び上がりながら振り向き、安心したように息を吐く。 その挙動は可愛らしいと言える物だったけれど、飛び上がった際にぶるん、と大きく揺れた胸と、そんな胸に負けないくらい巨大なおちんちんが、そんな無邪気な反応を許さなかった。 ……そう、おちんちん。 私達の共通点にして、あまり似ていない彼女と自分をつい比較しようとしてしまう理由の一つ。 私たちは、魔導の力をその身に宿すふたなり同士だ。 「それで、どうしたの?こんな朝っぱらに」 「目が覚めたら貴女がいない事に気付いたの。それで、何をしてるのかなって」 「ああ、なるほどー」 マシュさんは納得したように頷くと、持っていたタオルを掲げた。 「ボクも目が冴えちゃったからね。ちょっと寒いし、身体を温めるために乾布摩擦をしてたんだよ」 「かんぷまさつ……?」 頭の上にハテナマークが出る。 その全裸になっているのは乾布摩擦に必要なの? 温めるためと言っているけど、全裸になったら余計寒くないの? 仮に必要だとしても、いくら何でも無防備すぎない? 疑問が頭の中を駆け巡るが、上手く言葉にする事ができない。 そんな私の気持ちを知ってか知らずか、マシュさんは笑顔で話を続けていた。 「そうそう。こうやって……っと、タオルを身体に擦り付けて身体を温めるんだよ」 マシュさんは、慣れた手つきでタオルをスリスリと身体に擦り付ける。 上下に振られる腕の動きに合わせ、豊満な胸とおちんちんがブルンっ、ブルンっ、とダイナミックに揺れている。 「いや〜懐かしいなあ。修行時代には師匠達と一緒によくやってたんだよ」 そう語るマシュさんは、昔を懐かしみ楽しそうに笑っていた。 私には、何故笑えるのか分からない。 だってマシュさんはつい先日に、その修行を共にした兄弟子を自分の手で倒しているのに。 倒れたその男……バルガスを見つめる悲しそうな顔は今でも簡単に思い返せる。 だけど今見せている笑顔からは、その時の雰囲気はまるで感じられない。 辛くはないのだろうか。 それとも、辛いのを隠しているのだろうか。 それさえも、私には分からない。 私には、人の心が分からない……。 「そうだ、ティナもやってみる?」 「え?う、うん……」 私の顔色の変化を見抜いたのだろうか、いつの間にか乾布摩擦を中断していたマシュさんがタオルを手渡してきていた。 正直乾布摩擦の良さもよく分かっていないけれど、流されるままタオルを受け取る。 「ほらほら、脱いで脱いで!」 「きゃっ!?」 バサリ、と半ば強引に服を脱がされ、私もマシュさんとお揃いの全裸となった。 辺り一面に自然が広がる中で素っ裸になるのは何か落ち着かない感じがして、ついもじもじと身体をくねらせてしまう。 「えっと……こ、こう?」 そのまま見様見真似でタオルを動かしてみた。 先程揺れる胸に注目してしまったばかりだから、自分の胸も同じように揺らしてしまうのが気恥ずかしい。 スリスリ。ゴシゴシ。 スリスリ。ゴシゴシ。 「うーん……?」 手探りで力加減を変えながら擦ってみているが、どうにも手応えを感じない。 擦れた肌に感じるのは、温かさというよりも痛さの方が近い気がする。 あまり上質とは言えないタオルを使っているからだろうか……? でも、マシュさんはこれで気持ち良さそうにしていたし……。 「あの……」 「ん?どうしたの?」 「そ、そろそろ服を着ても良いかしら?」 いまいちピンと来なかったので、早めに切り上げようと持ちかける。 が、マシュさんは納得していない様子だった。 「え?ダメダメ、まだ本番もしてないでしょ?」 「本番……?」 これまでのは準備運動だったぜ、とでも言うつもりなんだろうか? それを言ったらそもそもこの乾布摩擦自体が準備運動のような動きだが。 「うん。こうやって……」 マシュさんはそう言うと、自分の持っていたタオルをファサッ、と私の下腹部にかけた。 いや、正確に言うと、露出している事とマシュさんの裸を見た事によって甘勃起している、私のおちんちんに。 「ちょ、ちょっと待っ……」 「こう!」 ズリズリ〜ッ♡♡♡♡ 「んほおぉぉぉぉぉッッッッッ♡♡♡♡♡」 視界っ♡視界に火花がいっぱい出てるっ♡♡ 足ピンッッッ♡ ビシッ♡と気を付けして、足とおちんちん♡♡全力でめいっぱい伸ばしちゃう♡♡ 「おちっ、おちんちん削れるっ♡削れちゃうっ♡♡」 「大丈夫大丈夫。ほらもう一回やるよ〜」 「あっ♡やめっ♡」 ズリッ♡ズリッ♡♡ズリズリズリッッ♡♡♡♡ 「やめぇぇぇっっっ♡♡♡♡」 逃げっ♡逃げないとっ♡♡ お尻プリン♡って突き出して♡♡情けなく腰砕けになって♡♡ おちんちんからタオル離さないとイキ死んじゃう♡♡♡ 「やめないよー?」 なのにっ♡♡マシュさんに優しく腰を抱かれて♡ぴっちりタオル密着させられるッ♡♡♡♡ そんな事されたらもう逃げ場が無くなるのにっ♡♡♡ 「無理っ!♡むりぃぃっっ!!!♡♡♡♡」 ビュルルルッッ♡♡♡ ああ♡プリプリ濃厚精液♡タオルに吐き出しちゃった♡♡ 普段使いしてるタオルなのに♡これから身体拭くのにも使うのに♡♡♡ 「どんどん行くよーっ♡」 「んほぉぉっっっ!!!♡♡♡♡♡」 ニュルルルルルッッッ♡♡♡♡♡ ニュルッッ♡♡♡♡♡ ニュルルルルルルッッッッ♡♡♡♡♡♡ 精液でヌルヌルしたタオルがッ♡♡♡ 敏感な亀頭の上で擦られる♡♡♡ 滑りが良くなってストローク長くなってるからっ♡♡♡ さっきより奥までクる♡♡♡♡♡ おちんちん馬鹿になるっっ♡♡♡♡♡♡ ビュルルルルッッッ♡♡ ニュルルルッッ♡♡♡♡ ビュルルルルルッッッ♡♡♡♡♡ ビュルッッ♡♡♡♡♡♡♡♡ ビュルルルルルルルッッッッ♡♡♡♡♡ ビュルルルルルッッッ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ …………………………………………………… 「ぜっ……ぜぇ……ぜぇ……♡♡」 「どう?暖まったでしょ?」 「ぜえ………」 どれだけ時間が経ったのかも分からない、永遠にも感じられた『乾布摩擦』が終わり、私はぐったりと座り込んでいた。 得意げにしているマシュさんを恨めしげに見ながら、脱ぎ捨てられた自分の服を手に取る。 「……お返し……!」 「へ?え、あ、ちょっと……んひぃぃっっっ♡♡♡♡」 服の端を掴んでマシュさんのおちんちんに当て、自分がやられたのと同じようにズリズリと擦りあげた。 大きいけれど少し柔らかさのあるおちんちんは、私の手の動きに合わせて柔軟に反り返る。 ズリッ♡ズリズリッッッ♡♡ ……ビュルルルルッッッ♡♡♡ たった数回腕を前後に動かしただけで、マシュさんのおちんちんから精液がドピュ♡と吹き出した。 どうやら、マシュさんのおちんちんも私に負けないくらいに敏感らしい。 「も、もう……♡なにするの!」 「きゃぁっ!?♡♡♡」 少しだけ安心してニヤついていた隙に、タオルを握りしめたマシュさんが、また抱きついておちんちんに狙いを定めてきた。 「えいっ!」 「おほぉぉっっっ!!!?♡♡♡♡♡♡♡またおちんちんバカになりゅぅっっ!!!♡♡♡♡」 お互いに精液を撒き散らしながら、攻守逆転は何度も何度も続いた……。 …………………………………………………… 「そ、そろそろ戻ろうか…」 うなだれたマシュさんの言葉に、声を出す事もできずにコクコクと頷く。 辺り一面に広がるのは、私達が射精したばかりの新鮮な精液。 空を見上げると、まだ日の登りきっていない仄かに明るい空。 どうやら私達が乾布摩擦をしていた時間はそう長くないらしい。 今のうちに戻れば皆が起きるまでには間に合うだろう。 私は立ち上がり、やや精液の匂いが付いた服を着直すとマシュさんと並んで元の場所へと歩き出す。 乾布摩擦の効果だろうか、身体はポカポカと温かい。 いつの間にか、起きた直後のもやもやとした気分は無くなっていた。 それが何故なのかを考えようとして。 (あ、まだ皆寝てる…こっそり寝袋に戻ろうか) 大げさにしゃがみ込み、声をひそめて囁きかけてくるマシュさんに倣って寝袋に戻る内に、考えるのも忘れてしまっていた。 寝袋の中で、少しの間だけ目を閉じる。 なんとなく、今度は悪夢を見ない気がした。